Thursday, September 01, 2011

『夜の梅』

とらやを代表する商品といえば、小倉羊羹『夜の梅』です。


















虎屋に残る古文書によると『夜の梅』の銘で最も古い記録は、今から300年以上も昔の元禄7年(1694)の「諸方御用之留」に見ることができますが、菓子の色形や素材は分かりません。


明らかに羊羹とわかるのは、安永5年(1776)に書かれた「御本途御菓子御直段帳(ごほんとおかしおねだんちょう)」に、文政2年(1819)に加筆された記録です。また、文久2年(1862)の「御棹菓子御銘并仕種書(おさおがしぎょめいならびにしだねしょ)」には、原材料として小豆の粉・小麦の粉・粒小豆・寒天と記され、この当時の『夜の梅』は小倉の煉羊羹と考えられます。 

御棹菓子御銘并仕種書。左から5番目に『夜の梅』が記されています。












「梅味ですか?」と尋ねられることもある『夜の梅』。

小倉羊羹なのに、なぜ菓銘に「梅」と付いているのでしょうか。
それは、羊羹の切り口を、じっと見つめてみると分かります。

 














小豆の粒が白くぼんやりと浮かんでいるように見えませんか?
『夜の梅』は、羊羹の切り口に見える小豆を、夜に咲く梅の花に見立ててつけられた菓銘なのです。


「月夜にはそれとも見えず 梅の花 香をたずねてぞ知るべかりける」
   
「 春の夜の闇はあやなし 梅の花 色こそ見えね 香やは隠るる」



この二首は、「古今和歌集」巻第一の春歌上40番・41番で、凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)による和歌です。春の夜の・・・の詞書きは、「春の夜梅の花をよめる」と記されています。



また、梅は古来から日本の絵画の重要なモチーフとされてきました。

鈴木春信「夜の梅」長尾版画製作





















鈴木晴信(1725~1770)の浮世絵「夜の梅」もその一つです。闇から白梅の香りが漂うかのようです。

菓銘の響きは、古今和歌集や浮世絵の世界観をも思わせます。


皆さまもぜひ、菓銘からひろがる情景を思い浮かべながら、『夜の梅』をお楽しみください。



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